あの夕陽が、いつも心に影をおとす―

山神

第14作 作/橋田志乃舞

閉山された炭鉱町に、若い女性が訪れた―。
以前、その町の中学校に通っていたというその女性は、偶然知り合った男性に、病気で働けない悩みを語るうちに、だれにも言うことのできなかった学生時代を明かすことに…。
楽しかった中学校の仲間たち―あの炭坑事故以来、バラバラに―
その仲間たちは今どうしているのか…。
だれもが胸に抱く甘酸っぱい初恋の思い出と10代のせつない友情が、ヤマの街を背景に舞台いっぱいにくりひろげられます。
ヤマの人々の悲しさと優しさが舞台いっぱいに広がる。
上演:2000年8月17日(木)、18日(金)
会場:教育文化会館小ホール

ごあいさつ

劇団一揆代表 橋田志乃舞

1981年10月末、当時15歳だった私は夜、テレビのニュースであまりにも悲惨な光景を見つめていました。北炭夕張炭坑ガス惨事についてのニュースでした。坑内火災が発生し水を入れることが決定し、炭坑マンの家族が夜も眠れずにいるという内容だったと記憶しています。
「どうして水を入れるの?」と私。
「石炭が燃えて使い物にならなくなるのを防ぐためだ」と怒ったように父。
「だってまだ人が中にいるんだよね?」と続けて問う私に、父母は黙って何も答えませんでした。
あの時、事故の内容は詳しく分からなかったけれど、今思えば大人の社会の汚い裏側を、両親は私に教えたくなかったのかもしれません。

2000年8月現在のニュースでは、北海道で6人に1人の割合で働けなくて困っている人が達がいるというのに、大手の銀行やデパートだけしか助けようとしない政府の汚さが流れています。
劇団内にも就職できず、短期のアルバイトで食いつないでいる団員が沢山います。
それでも明るく稽古場に通ってくる皆を見ていると、胸の痛みをおさえることができません。
人間らしく働くことは、全ての人が健康で文化的な生活をするために必要で、それを国が保証することは先進国としてあまりにも当然です。
皆が困っているときに動く政府こそ、本当に私たちに必要な政府だと思うのです。
当たり前のことが許されないこの国に、希望も見出せず生きる意欲も持ってない10代の人々の感覚を、私は単純に非難することは出来ません。
今回のお話でも、ばくぜんとした怒りをもてあます切ない青春の群像を描いています。
この思いを怒りだけではなく、人間らしさや優しさとともに伝えることができたら…。
こうして「山神」の舞台はできあがりました。
未熟な私たちが山(ヤマ)をどこまで表現できるかは自分達にとっても大きなカケですが、こんなに素晴らしい舞台で演じられる喜びを持って、精一杯あの山々の風景を描きます。
本日はご来場頂き誠にありがとうございました。

キャスト&スタッフ

●キャスト

水原今日子/柴田英梨子
男/佐藤貴一
老婆/橋田志乃舞
タカシ/野村昌弘
ユキコ/如月未歩
マユミ/紺屋友里
リエ/山北絵理香
ゾリ/MaSa

●スタッフ

脚本・演出/橋田志乃舞
助演出/柴田英梨子
舞台監督/佐藤貴一
舞監助手/橋本真美
音響/三上文孝
舞台美術/福田恭一(福田舞台)、劇団一揆
小道具/紺屋友里、菅生宏明
照明/橋本真美
衣裳/如月未歩、MaSa
制作/富堂保則、蛭田美幸、石川寛人、星原海、山北絵理香、紺屋友里、野村昌弘

●協力

福田舞台
熊倉英記
スタジオAct
教文演劇フェスティバル実行委員会
北星学園女子高等学校演劇部
ドラマシアターども